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技術的な記事や覚書について書いていきます。その内、自作サイトとかに技術記事をまとめたい。

何故、相対見積もりをするのか、どうしてしっくりこないのか

いまいち相対見積もりがしっくりこない、という感覚があったので、しっかり理解しようと色々調べて考えてみました。

Relative Estimation

scrum.org が公開してくれている相対見積もりについての動画を見つけました。
この動画の内容を噛み砕いていく内に仕組みや意味の理解を進められたので、この動画を基にまとめていきます。

www.youtube.com

何故、相対見積もりをやるのか

動画内で明示的には言われていませんが、冒頭にて

相対見積もりは高速で絶対見積もりと同じ効果が得られると信じています

と述べられていました。

相対見積もりの仕組みと理論は後に解説されますが、もしも、

  • (絶対見積もりよりも)高速
  • (絶対見積もりと同じ様に)正確

なのであれば、相対見積もりを選ぶ理由はこれで十分だと思いました。

相対見積もりの仕組み

動画では絵に書いた水の入ったコップを基に説明されています。

ざくっと説明をすると、

  • コップに入った水の量の実際に測ることが、絶対見積もり
  • 基準となるコップを決めてそれに対してN倍大きいのかを測ることが、相対見積もり

ということになります。

仕事に置き換えると、

  • タスクにかかる工数を正確に見積もることが、絶対見積もり
  • 基準となるタスクに対して何倍の規模のタスクかを見積もることが、相対見積もり

ということになります。

あくまでも基準に対する相対的なサイズ感を見積もることが「相対見積もり」ということでした。

相対見積もりの結果はメンバーの入れ替わりやツールなどの影響を受けない。

新しいメンバーが加わった時、誰がやるかが重要になる。 なぜなら、新しいメンバーと既に居るメンバーの間ではかかる時間が変わるから。 そして、絶対見積もりの場合、もしも作業を高速化するツールが何か見つかった場合、すべてを見直さなければいけなくなる。 しかし、相対見積もりの場合はメンバーの違いもツールの違いも何も影響しない。

絶対値で見積もった場合、新規メンバーと既存メンバーではスキルに差がある為、タスクに対してかかる時間が変化します。 また、何か作業を高速化するツールが見つかった場合もタスクに対してかかる時間が変化します。 なので、絶対見積もりの場合は、そうした変化に応じて都度見積もりのし直しをする必要が発生します。

しかし、相対見積もりの場合は常に基準のタスクに対する相対的な規模を求める為、理論的には常に結果に変化が起こりません。

正直「相対見積もり自体が早いかは」はわかりませんが、正確な絶対見積もりをする大変さは想像に容易く、流石にそれよりは早いと思います。 人やツールの変化による見積もりのし直し、つまり手戻りが無くなると思うと、「相対見積もりは高速である」というのが理解できました。

ベロシティ・スピード・アウトプット量を測る

変わるのはベロシティ・スピード・達成した仕事の量をさばけるようになったかだけ。

これはスクラムのスプリント(もしくは何らかのタイムボックス)ごとの計測を前提にした言葉だと思いますが、凄くしっくり来ました。

相対見積もりの結果は変わりません。
そして相対見積もりは規模を見積もる為、対象のタスクに対してどれだけの時間がかかるかは測ることができません。 なので、「どれだけの時間がかかるか」ではなくスプリントのベロシティ平均、つまり実績ベースで「どれだけのタスクを消化できるか」を割り出していくのだと思いました。

見積もり自体は、結局どれだけ時間がかかるか・期間内でどれだけのタスクを捌けるかを測ることが目的の為、これで十分なのだと思います。

相対見積もりの結果が変わらないという特性も併せて「相対見積もりは高速かつ正確」であることが理解できました。 (実際には高速且つ正確に運用する為に、スプリント平均を出す、プランニングポーカーをするなどの手法が重宝されているんだなと思いました。)

どうしてしっくりこないのか

相対見積もりについて学んだ結果、しっくりこなさの実体は「慣れた絶対見積もりに対して相対見積もりは直感的ではない」ということに気づきました。

相対見積もりによるタスクの見積もりが正確さを発揮するまでには時間がかかります。 そして、絶対見積もりによる時間換算の方が圧倒的に経験した事が多いです。
なので、毎回「時間換算だったらこうだけど、、、?」の様な思考を挟むことになって、いまいちしっくり来ないんだなと思いました。

このしっくりこなさの原因は強い言葉を使うと「意図・意味の理解の欠如」だと思います。 また、よく見かけるストーリーポイントのインフレの様なアンチパターンの原因でもあると思いました。

そもそも日頃慣れた見積もりとは別なパラダイムであることを理解して、意図や意味の理解を心がけないとうまく相対見積もりは機能しないのだと思います。

正しく相対見積もりをするには、、、

色々書こうと思ったのですが、むらみんさんの記事の内容になりそうなのでリンクを貼らせてもらおうと思います。
t-and-p.hatenablog.com

スクラム周りの話、正しい知識と価値基準に至りがちですよね。

まとめ

「正しく学んで誠実に見積ろう!」というただ当たり前のことを書いてしまいました。
当たり前のことが常識じゃない、という言葉に甘えてこのまま投稿しようと思います。

引き続き、学んでいきたいですね。